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こんにちは
『銀の森のパット』を読みました。
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最初にびっくりしたのは、「パットに家族がいる」ということ。
アンは(from『赤毛のアン』)は家族がいない、エミリー(from『可愛いエミリー』)は物語が始まってすぐに孤児になった、ヴァランシー(from『青い城』)は親がいることはいるけど…。
今まで読んだモンゴメリ作品では初めて見た(アンの末娘、リラは除く)、いわゆる普通の家庭で育ったヒロイン。
両親がいて、兄弟も4人いて(パットも含めて5人)、伯母さんもいて、ジョディ(傍から見たら召使いだけど、家族の一員)もいて。
そして、私が思うこの作品の最大の魅力は、パットは変化を嫌うということ。それなのに、時はあっという間に過ぎていくということ。
パットの望みは今のまま「銀の森屋敷」に住んで、両親、兄弟、ジョディとずっと一緒にいること。変化が嫌だから友達も恋人もいらない。
なのに、冒頭で7年間末っ子だったパットに、妹が誕生。
大好きなおばさんが結婚する。大好きな(2番目の)お兄さんに恋人ができる。
親戚の家に行く、家に帰ろうとして森で迷子になる。迷子になった時助けてくれた男の子と気が合い、お互いに初めての友達となる。
大好きなお姉さんが親戚の養女になるかもしれない。
親戚の家に行ったとき、出会った女の子と目が合っただけで無二の親友になる。
お父さんが髭を剃る。大好きなお姉さんが髪を切る。
お姉さんが大きくなったら宣教師になって、インドに行くと言い出す。猫が亡くなる。
自分が不細工だと気付く(←違います)。友達の男の子の、夢が幻滅する。
(1番上の)お兄さんが家出して、船乗りになる。
親友が亡くなる。お姉さんが結婚する。
時が瞬く間に過ぎていくのに、日々が鮮やかに書かれている。そしてどんどん変わっていくのに、変わらないものもある。
ああ、ベッツ、毎年毎年、こうやって日が過ぎていくのね……そして、変化が訪れるんだわ……ベッツ、あんたは誰かと結婚して、あたしから離れていってしまう。
ベッツ、それを考えると、あたし、死ぬほどつらくなるわ。ああ、ベッツ、あたし、とても耐えられない
『銀の森のパット』、お薦めです。
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